発送電分離プロジェクトニュース準備号

プロジェクトニュース準備号を発行しました!

2012年12月末までに経産省から電力システム改革戦略と工程表が発表されることになりました。発送電分離のタイプが決まり、いよいよ家庭でも電力会社が選べるようになる見込みです。しかし自然エネルギー原発に頼らない電力を選びたくても、託送料(送電線の使用料)が恣意的に設定されて割高の電力料金になっては普及が進みません。送電部門をチェックする体制づくりが欠かせないことと、やはり徹底した電力改革のために発送電分離のタイプとして所有分離を今後も要望しつづけたいと思います。
当プロジェクトでは、2013年初め頃に日本消費者連盟と共催で、国会院内集会「原発のない電力を選びたい―消費者・市民が望む電力自由化」(仮題)を企画します。詳細は近日発表、ぜひこの企画にご参加ください。


発送電分離プロジェクト・ニュース 準備号
2012.11.27 12.07改訂

発送電分離(電力会社の発電と送配電を分ける改革) その後の動き

11月7日、経済産業省の電力システム改革専門委員会が4カ月ぶりに再開されました。(委員長・伊藤元重東京大学経済学研究科教授)
この委員会は枝野経産大臣が2012年初めに設置し、電力の制度改革を議論し7月に基本方針を発表しました。1年間の議論をまとめ、12月末に電力システム改革戦略と工程表を正式発表予定です。

今年7月の時点で、発送電分離のうち、電力の「発電」と「送配電」の所有を完全に分ける「所有分離」は、所有という私権に触れるという理由から「将来の課題」としてはやばやと見送られ、「法的分離」か「機能分離」のどちらがよいかが、今回の委員会で議論されました(日経新聞2012.11.8)。

法的分離:電力会社の送配電部門をグループ内で分社化する。法律の面でわかりやすく、制度設計もしやすい(以前枝野大臣もこちらを発言)
機能分離:電力各社の送配電網の運用を独立した外部の機関に任せる。広域の電力融通に適している(9電力間での電力の融通や再生エネルギー普及に有利)

どちらの分離も、現在の電力独占体制から原発のない電力に移行するにはほど遠いものです。

発電と送電を形だけ分離しても、電力会社の社員や関係者が送電部門・会社に異動・出向するのでは、新規事業者(PPS、新電力)との競争が公平になりません。専門委員からも、発電と送電の間で情報、人事、予算を遮断し、取引を外部チェックできる体制づくりをすべき、と意見がでています。公正取引委員会も、報告書を9月に出し、電力小売の公平な取引を提言しています。

私たちは次のような文書を、委員会、経産省に送ります。このような表面的な分社や分離で電力改革を幕引きされないよう、徹底した発送電分離を今後も政府と電力会社に要望していく所存です。

 政府への要望書     

(1)発送電を分離し、送電網を電力会社の権益から独立した管理・運営主体に委ねることを求める。これにより、電力会社の地域独占を排除し、「原発に依らない」電力を供給する新規事業者の参入を拡大させることで、脱原発に向けての体制を形づくっていくべきである。

(2)送電網の管理・運営を監視・監督する中立的な第三者機関を設けることを求める。この機関は、送電網の公平な利用、適正な接続コスト設定、電力の安定供給が行われるよう監視する。

(3)電力網の広域化ではなく「電力の地産地消」を可能にさせる電力網のしくみを模索すべきである。送電網の広域化と不可分の高圧線・変電所から生じる電磁波リスクを十分考慮すること。したがって、将来的により小さい規模(エリア)での電力の自律的需給ネットワークを構築すべきである。

(4)自由化への移行過程で、スマートメーター導入などを通して従来の電力会社が独占状態を維持したり新規事業者の参入が妨げられないよう、公平な競争のしくみを確立すべきである。

◎東電 その後の動き

11月7日、東電は中期経営計画を発表し、福島第1原子力発電所事故の損害賠償や除染を継続するため、政府に新たな支援策を検討するよう要請しました。政府が当初見込んでいた5兆円を上回ると判断したためと報道されています(日経新聞、同日)。
講演「東電国有化のゆくえ」で経済ジャーナリストの町田徹さんは今後東電は繰り返し追加政府支援を要請し、総費用は2ケタの10兆円どころか、数百兆円にエスカレートしていくだろう、そして毎年電気料金を値上げしていくだろうと過重な国民負担への危機感を表明しましたが、このことが現実に始まりました(関電も値上げを申請)。国有化されてもなお東電は自分たちの資産を保ったまま、税金と電気料金を吸い上げるつもりです。このようなことは絶対やめさせなければなりません。
町田徹 ニュースの深層(現代ビジネス)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/34026

一方懸案の新潟、柏崎刈羽原発再稼働ですが、来年4月は事実上無理と認めつつ、あくまでも再稼働を狙っています。これをやめさせることができるどうかは、12月16日総選挙後の政権のゆくえも、大きく影響しそうです。

原発のない電力を実現するために

原発を止めても電力は足りています。電力大消費地の東京こそ、原発に頼ることをやめ、原発の電力を買わないように、私たちは脱原発を第一に掲げる宇都宮候補が東京都知事にもっともふさわしいと考えます。
猪瀬副知事は、反東電ながら、基本は石原都政の遂行者かつ継承者であり、脱原発を明言していません。

衆議院選挙では、票ほしさに「原発ゼロ政策」を掲げる者たちが続出していますが、本当に信頼できる政党と政治家を見きわる必要があります。原発再稼働を掲げる自民、公明政権の復活や、脱原発を引っ込めた日本維新の会の躍進は最悪のシナリオではないでしょうか。
嘉田滋賀県知事と飯田哲也氏など、脱原発日本未来の党が打って出ました。反原発首都圏連合作成の政党別原発政策一覧もぜひご参照ください。
http://coalitionagainstnukes.jp/?page_id=1855

発送電分離プロジェクト 今後の予定(仮題)
原発のない電力を選びたい 消費者・市民が望む電力自由化」院内集会(共催 日本消費者連盟
国会議員会館において、国会議員、経産省担当官の出席を求めて発送電分離の院内集会を企画しています。詳しい日時、内容が決まりしだい当プロジェクトのブログに発表いたします。
発行・文責 発送電分離プロジェクト
http://d.hatena.ne.jp/ao0332646475/
発送電分離プロジェクト で検索できます)
ao13111402@ah.e-mansion.com