♦︎電力改革プロジェクトニューズレター♦︎2021年8月号

電力改革プロジェクトニューズレター 

2021年8月号を再掲します

 

残暑お見舞い申し上げます。

コロナ禍・酷暑・集中豪雨のなか安全に過ごされますよう、お祈り申し上げます。

異常気象の原因といわれる温暖化についての講演会オンライン配信をご案内します。

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8月21日(土曜日)STOP!温暖化講演会2021 

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◼️STOP! 温暖化講演会2021 (オンライン)

気候危機を止めるには

 

 8月21日(土)13:30~16:30  

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f:id:ao0332646475:20210814121203j:plainhttps://stopcc2021.peatix.com 
・第1部:科学の声 「気候危機は止められるか ~ 気候変動の基礎知識と最新の科学」

講演:江守 正多 氏

国立環境研究所地球システム領域 副領域長

 

・第2部 市民の声 “ アクションする市民(Activist) ” に聞く 「私にできること」 

  高田翔太郎さん:POW(Protect Our Winters) Japan

  阪田留菜さん:Fridays For Future Tokyo

  一原雅子さん:環境省地球温暖化防止コミュニケーター

  東光弘さん:市民エネルギーちば/TERRA

 

参加費無料、 事前予約制

◼️申込先

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSe2lQ0bdKaH2WLPAhkpg4kPj6f3MDZO5haQ9humT1S4z69xow/viewform

メールアドレスを入力いただき、□電力改革プロジェクト にチェックをお願いします

申込み送信後に届くメールからZoomに事前登録いただくとURLをご案内するメールが届きます。当日はそこから入室し視聴をお願いします

 

■主催:PV-Net(認定NPO太陽光発電所ネットワーク) 

■協賛:イーエスピー、エネックス、グリーンピープルズパワー(GPP)、生活クラブ連合会、牧野電設工業、みんな電力、横浜環境デザイン 

■協力:350.org.Japan、パルシステム神奈川、市民電力連絡会

(以下東京の中央線、京王線沿線の市民グループ)中野・環境市民の会、杉並・地域エネルギー協議会、むさしの市民エネルギー、クリーンむさしのを推進する会、パタゴニア東京・吉祥寺、みたか市民協同発電、こがねい市民発電、こだいらソーラー、東大和エネルギーの会、電力改革プロジェクト、日野の水車活用プロジェクト、八王子協同エネルギー、えねこや、多摩循環型エネルギー協会

 

◼️講演会の狙い

PV-Netでは2019年より武蔵野公会堂(吉祥寺)を会場に「温暖化講演会」を開催してきました。今年も同じ講師の江守氏に、2021年8月公表のIPCC(気候変動研究者の国際組織)第6次報告の内容を含む、最新の「科学の声」を解説いただきます。その後、様々な領域、スタイルで活動中の“気候アクティヴィスト” =「活動する市民」4人に、活動内容や市民として「私にできること」のヒントなどをお話し頂きます。 


◼️主催団体のPV-Netとは?

2002年の設立の認定NPO。温暖化防止の啓発活動や再生可能エネルギーの普及、地方議会への請願陳情活動などに取り組んできました。

【問い合わせ先】 PV-Net:田中  event@greenenergy.jp

 
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参考動画とIPCC 第6次評価報告書 解説

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講演会チラシ(裏面)の解説のほかに、Youtubeには講師による以下の動画があります。

【20分でわかる!】地球温暖化のリアル圧縮版 (各20分)

お話:江守 正多 氏

① 温暖化のホントhttps://www.youtube.com/watch?v=Zsw2TJ006mc

② 温暖化ってヤバいの?https://www.youtube.com/watch?v=TfMdsppcWhA

③ じゃあ、どうしたらいいの?https://www.youtube.com/watch?v=bZnHsyIoe_A 

 

【速報版】IPCC執筆者が独自解説!「気候変動 国連最新レポート」(37分)

お話:江守 正多 氏

〜「20世紀後半以降の温暖化の主な原因は人間活動である可能性が疑う余地がない」と言い切った第6次報告書の要点とは?〜

www.youtube.com

 

◼️地球温暖化カーボンニュートラルってなんだっけ?

2015年国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)「パリ協定」では、「地球温暖化の主な原因は人間活動である」という科学的知見により、世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して、2℃より充分低く抑え、1.5℃に抑えるよう各国が努力する合意がなされました。日本政府も「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする※(=2050年カーボンニュートラル)脱炭素社会の実現を目指す」と宣言しました。※「排出を全体としてゼロ」とは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量から、森林などによる吸収量を差し引いた、実質ゼロを意味します

環境省脱炭素ポータル https://ondankataisaku.env.go.jp/carbon_neutral/about/


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国のエネルギー基本計画の素案を読む

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経産省資源エネルギー庁から国の「エネルギー基本計画の素案」が発表されました。

それによると、2030年温室効果ガスの排出削減目標46%、電源構成の目標は2030年エネルギーミックス(野心的見通し)として石炭火力19%、原発20〜22%、再生可能エネルギー36〜38%が示されました。「火力発電比率の引き下げ、原発事故への真摯な反省と原発再稼働の加速、汚染水の海洋放出方針、再生エネの主力電源化」などが明記されています。(2021年7月)

エネルギー基本計画(素案)の概要https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/2021/046/046_004.pdf

 

◼️将来を担う若い世代から

「あと4年、未来を守れるのは今」キャンペーンでは、

「これでは政府が宣言した2050年カーボン・ネットゼロの達成はほぼ不可能」と厳しく批判して、次の点を主張します。
1.気候・エネルギー政策の見直しは、若い世代を参加させ民主的で透明なプロセスで行うこと。

2.2030年までの温室効果ガス排出削減目標は、2010年比で少なくとも50%以上削減とすること。

3.2030年の電源構成は、省エネを第一に石炭火力と原発はゼロ、再エネ50%以上とすること。

4.原子力の利用をやめ、新増設や新型炉の開発は中止すること。

5.不確実で環境・社会影響が懸念される二酸化炭素回収・貯留などには頼らないこと。

ato4nen.com


また、専門家と協力して具体的なロードマップとして以下を提唱しています。

レポート 2030「グリーン・リカバリーと 2050 年カーボン・ニュートラルを 実現する 2030 年までのロードマップ」

https://green-recovery-japan.org/pdf/japanese_gr.pdf

 

◼️専門家から

素案を検討した大島堅一教授(原子力市民委員会座長)によれば、再エネ(=小規模分散)と原子力(=大規模集中)は、電力システムの最適化のあり方が違い、矛盾します。つまり再エネと原子力は両立できないが、再エネ100%は社会が選択できる、原子力はもはや維持できない、と以下のようにまとめています。

1. 新エネルギー基本計画は、現時点で非現実的で達成不可能である。

2. 原子力発電は維持できない。原子力は廃止を基本とすることが必要。再エネ目標の増加、省エネ目標量の増加 → RE100%へ(企業が使用する電力を再生エネ100%とする国際的取組)

3. 環境保全のためにインフラ、社会システムを作り替える(→脱炭素社会に向けた投資を)

自然エネルギー財団のウェビナーサイトより大島教授の資料

https://www.renewable-ei.org/pdfdownload/activities/03_Oshima_20210805.pdf

大島堅一編著「炭素排出ゼロ時代の地域分散型エネルギーシステム」日本評論社2021

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原発のコストと廃棄物処分問題

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経産省の発電コスト検証ワーキンググループより、発電コストの試算が明らかにされました(2021年7月)。 

   2030年発電コスト試算(円/kWh)

   原子力  11円台後半、太陽光発電 8〜9円

  (既設原発は 2011年以降のコストのみで高コスト。60年運転、社会的費用抜き) 

原発のコスト」研究第一人者の大島教授によればそもそも原発のコストは甘く見積もられてきましたが、今回の試算ではついに再エネのコストを上回りました。「原発の電気は安全で安い」神話は完全に崩れ去りました。しかも深刻な廃棄物処分問題がこれに加わっています。

   福島第一原発廃炉による放射性廃棄物(L1)

   通常の原発廃炉の場合の1400倍の量と判明。

   しかしL1をどう最終処分するのかも決まっていない。場所は? 費用は?

原子力発電の無責任の構造とは

「野心的計画→失敗→無反省→先送り→つけ、負担は市民、次世代」

の循環であり、政策決定者の責任は問われない、最終的なつけ回しが無責任の基盤となっている、と大島教授は厳しく批判しています。

グリーンピープルズパワーGPPオンラインセミナー「原子力政策の無責任と不可視の構造」大島堅一教授の資料(2021年4月27日)https://www.greenpeople.co.jp/video/

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誰のための脱炭素なのか。自分の頭で考えよう

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ドイツの電力事情に詳しい北村和也氏(JRRI再生エネ総研代表)はEnergy Shiftサイトで

「今、脱炭素が目的化してしまっていないだろうか。カーボンニュートラルは、あくまでも手段であることを忘れてはならない。」と問いかけます。様々な企業や機関が脱炭素やSDGsを謳い始めたのは、歓迎すべき動きも含みつつ、またもエコを装うグリーンウオッシュではという疑問もわきおこります。

 国のエネ基本計画素案は、2050年カーボンニュートラル実現を冒頭にかかげ、政策対応を詳しく書き込んでいますが、相変わらず原子力を重要なベースロード電源と位置付け、2030年においても「火力も原発も再生エネも」でバランスをとる問題先送りとなっています。

 しかし現実は? 2019年の電源構成は、化石(石炭、石油等、LNG) 76%、原子力6%、再エネ18%。あと10年をきった期間内に、化石とくに石炭火力閉鎖の上に、原発6%→20〜22%に増やすとは? 再稼働と建設後60年の運転が必要ですが、地元自治体の同意、安全確保、廃棄物処分をどう進めるのでしょうか? 汚染水海洋放出の方針には国際的に厳しい視線が注がれています。これに対して再生エネのポテンシャルは高く、50%さらに100%も可能であると、専門機関や市民団体から野心的試算がなされています。

 北村氏は「日本ではお上が決め、下々がそれに従う“良き慣習”受け身の文化。何が問題か、解決策は何かを、人が決めてくれる。直接的な責任も発生せず追及もされない。(日本では)新型コロナに見舞われる中で、実は、課題と解決策の責任を負う政府自体が逃げ回っている事実に直面してしまった。」と述べています。

 高速増殖炉もんじゅに象徴される原子力技術開発の失敗、そして過酷事故を引き起こした原発をゼロにできないのは、まさに、これと同じ構造ではないでしょうか?

    エネ基本計画素案はこれからパブリックコメントにかけられます。ぜひ多くの声を経産省サイトへお寄せください。

 北村和也氏「誰のための脱炭素なのか」https://energy-shift.com/news/14b5a1d5-5f21-4698-b9cc-63d0aba570f0?origin=北村和也&href=/news/author/f49d01a7-5803-460a-8b01-9cbfbdcf584f 

 

◼️編集後記

ドイツでは次の選挙で緑の党の政権入りが確実視されています。緑の党は、2030年までに電力需要を100%再生エネでまかない、世界の脱炭素化をリードする道を目指しています。一方、ずるずると原発をやめられない日本社会は、先進国としての下り坂、「終わりの始まり」を辿りつつあります。いくつ金メダルを取ろうと、この現実はごまかしようがありません。私たち一人一人が自分で資料を読み、自分の頭で考え、「原発ゼロと脱炭素」を宣言し、責任ある政策を実行できる政権をどう選び育てるのか、投票行動で示したいものです。

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発行:電力改革プロジェクト

(東京・国分寺を拠点に、原発に頼らない電力のしくみと再生可能エネルギー普及をめざす市民グループ

email:ao13111402@yahoo.co.jp
http://d.hatena.ne.jp/ao0332646475/