中間とりまとめへの意見 その2


総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会
電力システム改革貫徹のための政策小委員会
中間とりまとめへの意見 その2

「中間とりまとめ」は多くの専門家・市民が厳しく指摘するように、東京電力債務超過を防ぐ「東電救済」目的としか思えないタイミングと内容です。賠償費用不足金として「2020年から40年間、標準家庭で月約18円」を託送料(電気料金の一部)に上乗せすると試算されていますが、上限とされる2.4兆円を簡単に上げられる仕組みが大問題です。託送料への上乗せ自体が、発送電分離後の送配電部門の中立性・公平性を損ね、公平な競争を掲げる電力自由化の原則に反します(安田陽氏2016「「新電力の負担」が誤解を招く〜本質的に公平性を欠くのはなぜか?」自然エネルギー財団連載コラム。図も同じ。①で発生した事故費用を③に求めるのが第一の不公平性、税とせず②の総括原価方式を利用して回収するのが第二の不公平性)。http://www.renewable-ei.org/column/column_20161212_02.php
電力システム改革を進める同省が自らそれを葬るような矛盾に満ちています。国会審議もなく、膨張が予想される国民負担を、一省庁である資源エネルギー庁と審議会のみで決定するのは、エネルギー政策が関係団体の利害調整として決められていた震災前への逆戻りであり(大島堅一氏ほか編2016「地域分散型エネルギーシステム」日本評論社を参照)、著しいガバナンス不全と言わざるを得ません。3.11福島の原発過酷事故を経て、なおも原子力発電を手厚く保護支援する政府の「重介護政策」(原子力市民委員会声明)と批判されるゆえんです。