電力小売自由化について 質問集

11.16講演 わが家に電力自由化がやってくる!への質問集

当日いただいた参加者の質問をご紹介します。時間の都合で講師にすべての質問には回答いただけませんでしたが、次の機会に新たな情報を探り、活かしていきたいと思います。質問くださった参加者の方々に御礼申し上げます。

・九州での再エネ発電は45%、再エネ大国だそうですが、つい最近九電は「買い取りを控える」旨断言しました。こういうことは再エネ発電を勧める国策に反していると思うのですが…。
・日本の電気代は世界一高いと聞いています。「三段階」のような徴収体系は、国民をあざむく手法のように思えてなりません。
・資料13のドイツ“ビッグ4”の誕生ですが、4つの電力供給会社が地域によって分かれていると理解していいのでしょうか。もしそうだとしますと、自由に選択できるけれど地域性があるということになるのでしょうか。
・先ほど船津様はご自宅では100%をめざすというように言われていたと思いますが、東京のエネルギー自給率100%は可能でしょうか。
・三段階料金の比較計算に基本料金は加味されていますか。現在自宅は120kWh以下だけれど、安いとは思えませんが。
・一般電気事業者+経産省の強力な結びつきを断てるのか?
・自由化→価格競争→省エネ促進しない。省エネ・節電のインセンティブ
・「連続講演」今までのvol1と2でどんなこと?今後の予定は? ←こちらは当プロジェクトブログをごらんください
・貴重なお話しありがとうございました。資料48のコミュニティパワーの三原則は電力の自由化・自治と不可分のことと思っています(ex.飯田市の条例)。この辺をもう少し話していただければありがたいです。
電気事業法で、電力会社の「コスト」と「利益」を電気料金ですべてまかなうことになっていることが一番の問題だと思います。電気料金は、使った分を払うという単純な電気代ではないと思います。電力会社の「利益」を保証するために、今の電気料金は徴収されていると思います。そこのところを変えていくことだと思います。質問ではないのですが。
・「小売り自由化」で消費者が電力を自由に選べる→「発送電分離」による競争促進
・再エネを選択した場合、「固定価格買い取り制度」で発電者には一定の保証があるが、消費者にとっての負担は?「高く」ならないか?
・<自由化すると>買う電力に応じて、原子力関連の引当金・処分費や再エネの賦課金はかからなくなるのですか?
・<送配電分離について>今、再生エネの電力の送配を大手電力は拒んでいるが、自由化になったとき、この問題は解消されていくのか?
・<再生エネの電力料金について>今の電力料金より再エネのほうがどれをとっても高くなりますか?
電力自由化で新たな参入小売業者は、FITの適用を受けないほうが宣伝できるので有利なのですか?
・送配電の会社は何社ぐらいできますか?現在の電力大手の子会社として存続するのですか?送配電の会社を選ぶことはできないのですか?
特高受電設備があれば、現在でも新電力の安い電力を変えると聞いたが?
・深夜電力を活用して、安い電気を使うにはどうすればよいか。
・節電には太陽熱や地熱も有効では?
原発のある日本では夜間電力が安い料金体系がありますが、太陽光中心の国では昼間電力が安い料金体系例がありますでしょうか。
・送電と配電の物理的(事業)の違いは何ですか?同じですか?電力自由化になると、一般電気事業者以外で配電を担うことになりますか?
・新電力事業者は、現在、電源開発促進税や使用済み核燃…など資料21ページの付加金は貸されていますか?電力自由化後、それらはどのようになる予測でしょうか?
・資料35について。2016年度に日本で実際にどのようなサービスが始まる可能性が今出ているでしょうか?(お話には欧州の例がありましたが)電話と電気のセット契約(ソフトバンクなど)、ガスと電気のセット契約(東京ガスなど)、車や住宅メーカーが購入時にセット料金など?
・日本で外資が入ってくる可能性は?
・市民電力会社で契約募集しそうな事例があればお教えください。
・地デジ移行のときのように、小売り自由化を政府が積極的に広報するとはあまり思えません。消費者は何を手がかりに選択肢を探せばよいでしょうか?
・資料30、31の「高くてもかまわない」という意見ですが、再エネ電源だけの会社は、試算して一家庭につき月倍額になるとか、何か手がかりは出ていますでしょうか?
・資料36 エネ庁は3段階料金廃止を明示しているのでしょうか?
・電灯線はそのまま使用できるのですか。
・申し込み方法はどうなるのですか。
・資料3 電力システム3段階について。結局値上げのために実施しているだけなのではないか?
・資料5 広域運用について。周波数が相違しているのに、広域化が可能か?家電は50Hzと60Hz、両方対応できるのか?
・資料5 送配電施設について。東電の所有物がなぜ社会インフラとなるのか。管理費・建設費はどうなるのか?
・最新のdataで(東電地域&全国)PPSの販売シェアは?その電源%?電気料金(東電他)比で。
発送電分離を法的分離からスタートする(消費者にとっての)メリットあり?
・東電と中部電力の提携の意味は?予想される効果は?
・市民団体/消費者団体として、明快な表示(コスト内訳含21及び電源54、55、57など)を求める運動を展開すべきです。=手法&提案

11.16連続講演 開催報告

11.16連続講演 電力システム改革のゆくえVol.3
「わが家に電力自由化がやってくる!」終了しました
(第8回 西武環境保全活動助成事業)
 
2014. 11.16 (日) 14:00〜16:30 東京・JR国分寺駅ビル 国分寺LホールAホール 
50名の参加者で、会場の国分寺Lホールはほぼ満員の盛況でした!以下に内容をまとめてご報告いたします。

プログラム1 講演「電力自由化の課題と消費者の果たす役割」
船津寛和さん(コンシューマネット・ジャパン研究員)(1時間15分)
電力自由化の過程は大変複雑で多くの論点がありますが、船津さんは充実した資料をもとに丁寧に解説してくださいました。ポイントをいくつかご紹介します。

・電力システム改革を、消費者に役立つ「一言」で表すと、
 <目的>電力小売り自由化 → 電力会社を選べます
 <手段>広域運用期間 → 遠くから電力を融通できて、電力供給が安定します
 <手段>発送電分離 → 競争が促進されます
・現状では東電など全国10社の電力会社が、発電、送配電、小売りまで一貫して担っている。政府・経産省の電力システム改革工程表では、今後、発電部門と小売部門が分かれて自由化され、その次に送配電部門が法的分離されるが、社会インフラとして中立性・公平性の確保のため、規制されることになる。
・ドイツなど電力自由化先進国で起こったことは、電力会社の巨大・寡占化、多角化(電力+ガス+オイル等)、外資参入。電力料金は上がる場合も下がる場合もあり、小売事業者や料金メニューが増え、小売事業者倒産などの淘汰が起こった一方、市民電力会社が設立され、再生可能エネルギーの料金メニューが増加。
・自由化後、消費者が正しく選択するためには、充分な情報開示が必要。ドイツのエネルギー事業法では、電源構成(原子力、石炭、再エネ等)、環境負荷(CO2、放射性廃棄物排出量)などを消費者に情報提供する義務を課している。
・消費者による選択を支援するためには、まず電力会社が選べるようになったことを普及啓発し、選択のためのガイドラインの提示、比較サイト(事業者名、料金メニュー、環境性等)の整備、優良事業者のラベリングなどを進める必要がある。
・ただし三段階料金制度(電気使用量が多いほど料金単価が高くなる、日本特有の制度)は、省エネ、低所得者層保護のため、自由化されても維持すべきではないか。
・現在の電気事業法は供給側の視点に立ち、電力会社が消費者を保護するという一方的な関係だが、今後は市民も発電・節電することにより事業者と双方向的な関係を結ぶ。市民が起点となる「エネルギー基本法」が求められる。
・ドイツの再エネ発電設備の約7割が地域の出資(個人、農家、中小企業所有等)で、多様なエネルギー協同組合も増加し、コミュニティパワーが伸びている。
・今、地域住民として可能なことは、自治体が(東電等からではなく)新電力から買電入札を行うよう、また発電所を所有する自治体に(東電等との随意契約をやめ)売電入札を行うよう働きかけること。
その他、FIT制度(再エネ事業振興のために、その電力を一定期間、同じ価格で買い取る制度)をめぐるいくつかの問題も取り上げられました。

●講師プロフィール●
船津寛和(ふなつ ひろかず)
コンシューマネットジャパン研究員。
気候変動・温暖化防止のため、炭素税や排出量取引、固定価格買取制度などを研究、政策提言を行う。研究対象は再生可能エネルギー、省エネ、電力システム改革。環境教育やESD(持続可能な開発のための教育)が原点。
プログラム2 報告「市民電力の実力」
都甲公子さんNPOこだいらソーラー理事長)(40分)
 こだいらソーラー設立の経緯と目的、全国各地に市民電力が誕生し、昨年には市民電力連絡会が発足、今年11月の首都圏市民電力のつどいも100名参加で盛り上がったこと、小水力発電によって山間部の地域おこしが成功した例(岐阜県郡上市白鳥町石徹白地区)など、力強く話して頂きました。
 さらに、電力自由化により市民が電力を選べるようになるためには、供給してくれる新電力(PPS)、再エネの電源、再エネを選ぶ消費者が必要であること、FIT(固定価格買取制度)は再エネの普及を大きく後押ししてきたが、設備認定容量と実際の稼働量にはギャップがあるので、現在問題となっている電力会社の接続保留は行き過ぎであることを指摘されました。こうした問題を解決するには、分断された送電網を広域運用できるようにし、再エネの優先接続・優先供給を徹底すること(日本は6%が限界というが、ドイツでは風力と太陽光で50%以上を記録)、電力会社が恣意的に決めている系統(送電網)運用を、第三者的立場での公平なルールに改めることが必要だと訴えました。

●報告者 プロフィール●
都甲公子 (とこう きみこ)
市民の政治グループ東京・生活者ネットワークの政策スタッフとして、環境エネルギー政策をつくる傍ら、自ら実践をと1998年自宅の屋根に太陽光発電を設置。太陽光発電モニターの自主グループCELCを設立、以来計測活動を継続し、新エネルギー財団の新エネ賞を受賞。さらに広げてユーザ—の全国組織である太陽光発電所ネットワーク設立に参加。3.11後、地域のエネルギーシフトをめざす「こだいらソーラー」を立ち上げ、理事長として市民共発電所づくりに取り組む。また、市民発のエネルギー事業を志向する人々のネットワークとして「市民電力連絡会」の設立にも加わり、運営委員を務める。

 講師のお二人には数多くの質問が寄せられ、関心の高さと、問題の複雑さから理解しきれない部分もあったことがわかりました。電力自由化の全体像、問題点を提示することはできたと思いますが、今後の啓発活動に反省点として生かしていきます。


11.16連続講演 電力システム改革のゆくえVol.3  わが家に電力自由化がやってくる!

久々に国分寺で講演会のお知らせです。

連続講演 電力システム改革のゆくえVol.3
わが家に電力自由化がやってくる!

2014. 11.16 (日) 14:00〜16:30 
国分寺Lホール Aホール (13:30開場)
JR中央線国分寺駅ビル8階)
資料代 500円

主 催: 電力改革プロジェクト
連絡先:email : ao13111402@ah.e-mansion.com

いま、私たちの家庭では、福島原発事故を起こした東京電力の電気しか、選べません。でも、1年半後の2016年度からは、他の電力会社も選べるようになるのです!NTTの独占が崩れた通信の自由化と、電力の自由化はどう違うのでしょうか?自由化で電力料金は安くなるのか、高くなるのか? そもそも、原発フリーでCO2排出の少ない電気を私たちは選べるようになるのでしょうか?
そして最近、原発を優遇する電気料金を作ろうとする動きがあります。えっ「原発は安い」って言ってなかったっけ!? 
そんな電力自由化についての数々の疑問と期待、課題に、エネルギーの実務に関わる最前線の専門家が答えます。電力自由化を通して真にグリーンな未来を手に入れることができるのか、いっしょに考えましょう。

お話
船津寛和 さん
[電力自由化の課題と消費者の果たす役割]   
コンシューマネット・ジャパン研究員。電力システム改革、再生可能エネルギー、省エネ、環境教育などを研究
都甲公子 さん 
[市民電力の実力] 
市民電力連絡会運営委員、NPOこだいらソーラー理事長

*本企画は、西武信用金庫環境保全活動助成によるものです。ご支援に感謝します。

北電値上げ国民の声募集

経産省・資源エネ庁では、北海道電力の値上げ申請について国民の声を募集しています。
http://www.meti.go.jp/press/2014/08/20140801004/20140801004.html
以下の意見提出フォームから送ることができます。

締切 9月11日夜12時
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620214006&Mode=0
再値上げの影響や申請理由を考慮してぜひ意見を!
以下に、消費者問題ネットワークである、コンシューマネットジャパンに提供いただいた解説を掲載します。
http://consumernet.jp/

北海道電力株式会社の電気料金値上げ申請について

全体について
今回の値上げ申請は昨年9月の値上げから1年足らず、前回7.7%に続いて17.0%という大幅な値上げであり、北海道で電力需要が高まる10月実施としていることから、家計や行政サービス、企業活動等に悪影響を及ぼすことが予想されます。消費増税、ガソリン代高止まりなどとあわせて、道民にとって死活問題となりかねません。
 道内の説明会では、原発再稼働前提の値上げ申請には協力できない、再生エネルギー普及努力について丁寧に説明すべき、市民生活への甚大な影響から反対意見が出され、産業界からも相当な影響をうけるとして、撤回や大幅な見直しを求める意見が大勢です。
今回の値上げ審査は電源構成変分認可制度の適用となり、審査対象が限定されていますが、申請案に示された電源構成の変動が明らかに事業者の自助努力が及ばないといえるか、検討が必要です。電源構成変分認可制度は、事業者救済の色合いの濃い安易な値上げ制度であり、容認できないとの厳しい意見もあり、同制度やタイムスケジュールにとらわれることなく、厳格な審査を行い、値上げ幅を最小限に抑えるべきです。
総括原価方式の根拠である「料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること」の実証として、電源構成変分認可制度にとらわれることなく、あらゆる分野でコスト削減に努力したという具体的な根拠を示すなど、北電側からの丁寧な説明が必要です

経営効率化について
前回値上げ時に約束した「経営の効率化」を具体的にどう進めてきたのか。今後の経営環境を踏まえた経営効率化の具体的な計画とはどのようなものか。
役員報酬50%削減後でも2000万円(昨年経産省に1800万円に)従業員は給与5%、賞与50%削減して634万円(北海道の男性会社員平均年収410万円)
再値上げ申請後に公表した合理化策は社宅売却の10億円のみ。
原発に依存し火力の設備更新を怠った経営責任を問う意味で役員報酬を削減し、さかのぼって返還させることも検討してほしい。LNGのように発電コストが安くエネルギー効率の高い電源に早急に転換すべきである。

原発再稼働の見込みについて
原発依存を続けるための値上げであることが明らかである。値上げの理由として「泊原発の運転停止の長期化」が上がっているが、泊原発が稼働しない場合さらに料金値上げを行う必要があるのか、具体的数字を示して明らかにすべきである。
再稼働すれば値下げするとの社長の弁明では国民の理解を得ることはできない。原発依存を減らすために、経営の抜本的見直しをすべきである。
 
電源構成について
今回の値上げも泊原発3基の再稼働が前提になっており、時期を2015 年11 月〜2016 年3 月としているが、現在の再稼働に向けての審査の進捗を見る限り、その前提が崩れる可能性も多々あり、その場合の再度の値上げの不安が払拭できない。たとえば再生可能エネルギーをはじめとする電源構成の多様化をすすめるなど、リスク軽減策はないのか、あるとすれば具体的にどのように実行していくのか。
北電の説明からは原価算定期間しかわからない。長期計画を示さないと展望はみえない。泊3号機はいつまで動かしたいと考えているのか。たとえば10年を再稼働の上限として、バイオマス発電に切り替えていく、というような具体的な計画を示すことで、地元の理解が得られるのではないか
石狩には4年後にLNG発電ができて、火力発電が減る見通しもある。今後自然エネルギーと蓄電池の併用、バイオマス発電などの研究推進、発電効率の高い設備への更新等により、経営危機を乗り切ってこそ、道民に安全で安定的な電力を供給できる。原発以外の電気を増やすための値上げであれば協力したいとの意見もある。
 

燃料費について
火力発電用燃料費の増大を抑えるための対策について、火力燃料費抑制のために具体的に行った対策、ピークシフト・メリットオーダーの具体例、卸電力取引所等の活用実態、再生可能エネルギーの活用実態について説明が必要である。
燃料費と購入電力料を同じ扱いにしていることは疑問である。各年度について単価を計算してみると、一番安い時期で8円90銭、一番高い時期で15円20銭。現行単価は19円とあるが、標準家庭には23円50銭で売っている。安く買いつけ高く売る事業は疑問である。燃料費と購入電力料は別にするべき。
石油・石炭の燃料費が急増しているのは24年度までであり、25年の値上げで処理済みのはずである。為替レートも大きな影響を持つ。平成23年1ドル79円、平成25年1ドル100円、27%円安。円安によって増大した燃料費を指して、原発を稼働できないからと値上げの根拠にすることは納得できない

使用済み核燃料処理について
北電の経営を追い込んでいるのは火力発電の燃料費ではない。泊3号機を建設した負債と、原子力発電関連の固定的な巨額な支出が原因である。
電気料金決定の際、原価や為替レート算定に関わる原子力関係の支出は、使用済み核燃料や特定放射性廃棄物など、巨額かつ不透明である。
使用済み燃料の再処理に関して、まったく実績があがっていないにもかかわらず、日本原燃と契約して料金を支払っている。広報担当によれば、日本原燃との契約は、再処理工場竣工後、約40年間で北電分約1000トン、費用にして3500億円程度の計画。積立金の累計1700億円ではまったく足りない。仮に計画通り進んだとしても、1800億円以上日本原燃に支払うことが現時点で確定している。一方で、再処理実績は現時点までまったくない。それでも料金は契約に基づいて支払うことになる。今後当初契約の3500億円を超えることが予想される。再処理が行われていない以上、契約を解約すべきである。資源エネ庁が扱えない事案であれば、消費者庁監督官庁として、契約開示と内容是正を指導すべきである。放射性廃棄物の最終処分については、安全の議論も技術的な研究も完了しておらず、さらに費用が膨らむことが予想される。原発が稼働すればますます電気料金が上がることが心配される。
北電の株主総会では、泊原発を本年9月に再稼働しても電気料金値上げせざるをえないといわれていた。泊原発を稼働できれば値下げするというのは本当なのか。
北電に限らないが、日本原燃への委託契約が支払内容に見合っているか確認するため、消費者にも契約内容を開示すべきである。2年続きの大幅値上げに、全く説明責任を果たしていない。
再処理目的で毎年1億円が北電資産に組まれているというとしたら、長期的で巨額の固定費が経営を圧迫するだろう。電力各社が同じようにかかえているこの問題に対して、救済対策を政府に求める時期ではないのか。社会全体で解決しなければならない喫緊の課題に対して、政府、事業者のどちらからも議論が出ないこと自体おかしい。
国は一刻も早く、脱原発再生可能エネルギーを普及させるエネルギー政策を実現するために、財政・税制等を含めた具体的なエネルギー総合施策を推進すべきである。原発推進が国策ならば、原発を国の管理下において計画的に廃炉にする政策も考えられる。

需要家への対応
地域独占で事業を行う事業者として、顧客の満足度を上げる努力は必須である。特にの電力利用実態を調査・分析し、消費者に対してより生活の実態に合った料金メニューを用意するなど、省エネとユーザー還元という視点を明確にした事業展開が望まれる。

経済的弱者保護について
電気料金の支払いが滞った利用者には即電気を止めているが、多額の値上げをする以上配慮すべきではないか。不払い時の電気を止める方法を改めてほしい。
弱者の世帯では電気代を切り詰める余地はもう残されていない。

電力システム改革との整合性
電力システム改革との整合性が必要である。経営悪化の原因は原発にこそある。減価償却の終了した火力発電所がフル稼働して大幅な利益を上げているにもかかわらず、全体の経営が悪化するような現状では、今後の電力自由化以後の競争には耐えられない。電力システム改革のトップランナーとして生まれ変わるべきである。電力システム改革に抵抗し、その足を引っ張り、ゾンビのように生き残ろうとすることは、悲劇でしかない。
北海道の広大な土地、自然環境に恵まれた立地は、再生可能エネルギー育成に最も適している。全国の再生エネのモデル地域、化石燃料に代わるクリーンエネルギーとして普及・導入を要望する。

立川市議会議員選挙始まりました!

立川市議会議員選挙始まりました!
6月22日東京都立川市の市議会議員選挙の投票日です。当プロジェクトでは 現職で4期16年の
 
大沢ゆたか 候補(無所属・緑の党推薦) 

を応援しています。
理由は、原発事故の前年から立川市とPPS(新電力)の電力契約を働きかけ、脱東電・脱原発を多摩地区で最も早く進めた先駆者であることです。おもな議員活動として障害者、社会的弱者、少数者が住みやすいまちづくりを掲げ、ビッグイシューの販売拠点を立川に作り、ホームレス支援のために「さんきゅうハウス」(立川市錦町)を立ち上げ、自立と生活再建の支援を続けてきました。
趣味はトライアル(オートバイ競技)、登山、音楽。

大沢ゆたかはなぜデンキに強いのかというと、専門が物理学、前職は自動車メーカーの技術者でした。
宣伝カーには太陽光パネルを搭載して、自然エネルギーで市内を回っています。
大沢の提案で、立川市公共施設はすべてPPS契約となり、電気代1億3000万円を節約した実績をもっています。
5期目の目標は住宅政策。公共賃貸住宅に入れない世帯に対して家賃補助を行う制度を提案します。
電気代を抑え、原発に依存しない安全な電力を選ぶために、国のすすめる電力システム改革の監視と提言も期待します!

大沢ゆたかを推薦する豪華なメンバー!(以下敬称略)
宇都宮健児 元日弁連会長
上原公子 元国立市
山田真 小児科医
稲葉剛 もやいネットワーク
おおたか静流 シンガー


こうした自治体議員が一人でも増えて、脱東電・脱化石エネルギーを地域から力強くすすめてほしいものです!

電気事業法改正案についての疑問点と要請

電気事業法改正案についての疑問・要請
(電力システム改革市民委員会と共同作成) 2014.6.1


今国会の電気事業法改正案は衆議院を通過し、参議院で審議が始まろうとしています。
今国会では電力システム改革の第二段階である電力小売自由化をめぐる電事法改正が主眼となっていますが、まずは当初の目的通り、電気料金を抑制しながら電気事業者間の公正な競争を実現させることが必要です。
しかし、電力小売自由化は消費者の生活に直結する重要な問題であり、電力システム改革は事業者のみの改革ではなく、エネルギー消費の主体である消費者を保護する観点を取り入れた改革であるべきと私たちは考えます。消費者にどういうメリット、リスクがあるのか、個別具体的に政府に説明を求め、今後集会開催などを通してこの問題への関心を喚起していきたいと思います。

電気事業法改正によって、どのように発電事業への新規参入が促進され、小売自由化で消費者が真に選択しやすい環境が整えられるのか、疑問点と私たちの要請を以下にまとめました。


小売事業者が多様な消費者ニーズに対応する選択肢を提示し、各種のサービスを実現することが重要である。消費者が小売事業者の変更(切り替え)を容易かつ迅速にできるようにすることが重要であるが(例 インターネットの手続き)、その方法、費用負担、消費者情報の取り扱いについて、電事法改正案に記述がない。これについて同法に規定を設け、周辺制度を改革する必要があるのではないか。また、消費者が小売自由化に対応できるように啓発し、小売事業者を切り替えられるようにするには、どのような環境整備が必要と考えられるか。


各家庭への(スマート)電力メーター設置が始まっているが、改革後、送配電会社(送配電部門)が所有すると予想される(スマート)電力メーターを消費者に対して一方的に設置する体制を改める必要があるのではないか(例 無線か有線かの選択肢を残すなど)。


消費者はエコ電力メニュー、スマートメーターによる時間帯別料金メニューを選択できるようになるのか。節電や省エネの観点から時間帯別料金などのデマンドレスポンス料金メニューの導入を促す方策が必要ではないか(例 時間帯別料金メニューは、改正省エネ法ではなく電事法において規定すべきではないのか)。消費者にとって「有利な情報提供」をどのように確保するのか。


小売全面自由化の前後に、どのような電気料金の経過措置が予定されているのか。現行の三段階料金を残すべきではないか(7を参照)。


託送料(ネットワーク料金)については総括原価方式がとられると予想されるが、この料金算定については、公聴会開催や消費者庁との協議が必要ではないか。制度論としてきちんと準備されるべきではないか(例 個々の消費者への情報開示として、電気料金明細に基本料金、電気使用料、託送料等内訳を明記するよう規定すべきではないか)


料金を払わない消費者は電気の供給をカットされるが、一般送配電事業者に「最終保障供給契約」に基づく供給義務が課せられている根拠は何か。特別な事情のない消費者が小売事業者を選択しないまま、一般送配電事業者の「最終保障供給契約」にとどまることはあるのか。


低所得層や高齢者が高い料金メニューに残されないための方策をどうするか。これらの啓発活動や情報提供を事業者任せにせず、セイフティーネット(福祉施策)としてどう進めるのか。


以上のなかで電事法の射程外となっている項目について、「電力小売の表示に関する法律」「電力小売の消費者保護に関する法律」のような特別法を作ることはできないか。仮にそのような法または下位規範の制定が可能な場合、どのようなことをポイントに取り込むべきか。

電気事業法改正案新旧対照
http://www.meti.go.jp/press/2013/02/20140228002/20140228002-6.pdf

汚染水流出への抗議と要請

福島第一原発内の汚染水流出に対する抗議と要請書
                   
電力改革プロジェクトでは、2013年8月28日、日本消費者連盟と連名で政府に抗議と要請書を送りました。

内閣総理大臣 安倍 晋三 様
経済産業大臣 茂木 敏充 様
原子力規制委員会 委員長 田中 俊一 様
東京電力株式会社 取締役代表執行役社長 廣瀬 直己 様

            特定非営利活動法人日本消費者連盟 
                  電力改革プロジェクト
要請書
福島第一原子力発電所の汚染水流出レベル3の事態への抗議と緊急要請

冠省 2013年7月下旬、東京電力(東電)は福島第一原発において放射性物質を含む汚染水が地下水に混入して、海に流出していた事実を発表しました。さらに、8月19日には同原発内の汚染水貯蔵タンクから約300トンの高濃度汚染水漏れが発覚しました。原子力規制委員会は、原子力事故の国際評価基準でレベル3の「重大な異常事象」にあたると正式決定しています。
 今回の汚染水漏れで、東電が当然すべき管理を怠っているうえに、情報を公開するという基本的な義務も果たしていないことが明らかとなりました。東電の汚染水の海洋流出の事実の公表は参議院選挙後でした。重大な事実を隠ぺいしたうえ、場当たり的で廉価な対策に終始して、被害を拡大させていると言わざるを得ません。東電の対応は完全に後手に回っており、深刻な放射能汚染を食い止める能力を失っています。今後も汚染の広がりや作業員の被曝など、次々と廃炉作業の綻びが露呈し被害を拡大させる恐れがあります。
 この間、原子力規制委員会は再稼働に向けた新規制基準の適合審査の作成に没頭し、約80人体制での審査会合を続けています。一方、汚染水対応を含む福島事故対策には従来と変わらぬ約40人が担当しているのみです。
 東京電力は、福島第一原発事故により、2011 年5 月以降、海洋に流出したセシウム137 は20 兆ベクレル、ストロンチウムは10 兆ベクレルに上ると公表しています。現在、福島原発敷地内の汚染水総量は43 万トンに達し、これらは建屋内に9 万3 千トン、タンク内に33 万4 千トンが保管されています。13年7 月公表の経済産業省の汚染水処理対策委員会の議論によれば、13年5 月に粘土系遮水壁案、凍土遮水壁案などの地下水の流入を遮水するためのプランが複数のゼネコンから提案されていました。
敷地内に設置されたタンクは5 年しか耐久性のない脆弱な構造のものであり、そのタンクのひとつから300 トンもの高濃度汚染水が海へ流出したことが判明したことは、他のタンクの健全性にも疑問がもたれます。タンクに水位計を付けなかったことや、タンク周囲に堰を設置したがドレン配管(排水用)の弁を開いていたので汚染水が堰の外に漏れてしまったなどの事実は、今後も汚染水の海洋流出が続き、建屋への大規模な浸水も懸念されるということです。
福島第一原発においては深刻な原子力災害が現在も継続しているのであり、このような重大事の公表が参議院選挙後、国会閉会中であったことに、強く抗議します。
 今回の件で、東京電力には事故収束と汚染水対策を進める能力が欠けていることが明らかになりました。国は、福島第一原発事故の収束問題を、政府の最優先の政策課題として設定し、全社会的な取り組み態勢の再構築を行うべきです。
この緊迫したレベル3の事態に対して、東京電力は政府指示の下、情報の公開を含め全面的に国に協力すること、国が責任主体となり、緊急かつ全力で対処していただくよう、以下のことを要請します。


1 政府内に新たな福島第一原発廃炉と汚染水対策に特化した部門を作り、今回の事故処理を含む東電の廃炉事業をその下におくこと。
(1)特化部門においては、国内外のあらゆる関連分野の人材と知見を集約し、事故対処にあたらせること。海外に積極的に支援を呼びかけるなど、抜本的な体制強化をはかること。
(2) 経産省資源エネルギー庁の汚染水処理対策委員会は、特化部門に協力するとともに、早急に委員会の議事録を全面公開すること。
(3) ストロンチウムプルトニウム等も含む、より正確な流出データを東電に公表させて、適切な事故対処と迅速な情報公開を行うこと。
(4)廃炉作業にあたる人員の確保や被曝線量の厳重管理等により、作業環境の悪化を早急に食い止めること。

2 地下水と汚染水流出の経路をつかみ、今回の事故処理を徹底的に検証し、再発防止に努めること。原子力規制委員会における原発の新規制基準に汚染水流出対策を組み入れること。
(1) 汚染水対策業務の遂行に当たっては、「凍土遮水壁」に限定せず、最適技術の選択を行いながら進めることとし、大型タンクの建設と既存の応急的、仮設的汚染水処理システムを耐久性のある恒久的な汚染水処理システムに更新し、実効性のある海洋への汚染水流出防止システムを構築すること。
(2)福島第一原発は地下水脈の上に建設されており、建設自体の妥当性が疑われる。新規制基準には、地下水脈等の調査、遮水対策などもいれること。

3「事故を繰り返さない」ことが前提であるはずの原発再稼働審査を、このような事態の下で行うことは著しいダブルスタンダードであり許されない。原発の適合性審査や核燃料サイクル施設の新規制基準づくりを凍結し、政府の新部門と連携してすべての人員とエネルギーを、汚染水対策を含む事故処理に振り向けること。

4 福島第一原発廃炉事業を国の責任で行っていくために、東京電力の経営形態や法的位置づけについてのより根本的な見直しは、独立性のある有識者組織と国民世論を反映した形でなされるべきであり、そのための方法として、「専門調査委員会」を国会に設置すること。

5 東電から原発事業を切り離し、現在所有している原発すべてを廃炉として新部門のもとにおくこと。他の事業は、発電・送電・配電・小売に分割して新会社を設立し、電力自由化発送電分離のモデルケースとすること。
そのために電気事業法原子力損害賠償支援機構法等の改正を含む電力システム改革を推進すること。
以上