北電値上げ国民の声募集

経産省・資源エネ庁では、北海道電力の値上げ申請について国民の声を募集しています。
http://www.meti.go.jp/press/2014/08/20140801004/20140801004.html
以下の意見提出フォームから送ることができます。

締切 9月11日夜12時
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620214006&Mode=0
再値上げの影響や申請理由を考慮してぜひ意見を!
以下に、消費者問題ネットワークである、コンシューマネットジャパンに提供いただいた解説を掲載します。
http://consumernet.jp/

北海道電力株式会社の電気料金値上げ申請について

全体について
今回の値上げ申請は昨年9月の値上げから1年足らず、前回7.7%に続いて17.0%という大幅な値上げであり、北海道で電力需要が高まる10月実施としていることから、家計や行政サービス、企業活動等に悪影響を及ぼすことが予想されます。消費増税、ガソリン代高止まりなどとあわせて、道民にとって死活問題となりかねません。
 道内の説明会では、原発再稼働前提の値上げ申請には協力できない、再生エネルギー普及努力について丁寧に説明すべき、市民生活への甚大な影響から反対意見が出され、産業界からも相当な影響をうけるとして、撤回や大幅な見直しを求める意見が大勢です。
今回の値上げ審査は電源構成変分認可制度の適用となり、審査対象が限定されていますが、申請案に示された電源構成の変動が明らかに事業者の自助努力が及ばないといえるか、検討が必要です。電源構成変分認可制度は、事業者救済の色合いの濃い安易な値上げ制度であり、容認できないとの厳しい意見もあり、同制度やタイムスケジュールにとらわれることなく、厳格な審査を行い、値上げ幅を最小限に抑えるべきです。
総括原価方式の根拠である「料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること」の実証として、電源構成変分認可制度にとらわれることなく、あらゆる分野でコスト削減に努力したという具体的な根拠を示すなど、北電側からの丁寧な説明が必要です

経営効率化について
前回値上げ時に約束した「経営の効率化」を具体的にどう進めてきたのか。今後の経営環境を踏まえた経営効率化の具体的な計画とはどのようなものか。
役員報酬50%削減後でも2000万円(昨年経産省に1800万円に)従業員は給与5%、賞与50%削減して634万円(北海道の男性会社員平均年収410万円)
再値上げ申請後に公表した合理化策は社宅売却の10億円のみ。
原発に依存し火力の設備更新を怠った経営責任を問う意味で役員報酬を削減し、さかのぼって返還させることも検討してほしい。LNGのように発電コストが安くエネルギー効率の高い電源に早急に転換すべきである。

原発再稼働の見込みについて
原発依存を続けるための値上げであることが明らかである。値上げの理由として「泊原発の運転停止の長期化」が上がっているが、泊原発が稼働しない場合さらに料金値上げを行う必要があるのか、具体的数字を示して明らかにすべきである。
再稼働すれば値下げするとの社長の弁明では国民の理解を得ることはできない。原発依存を減らすために、経営の抜本的見直しをすべきである。
 
電源構成について
今回の値上げも泊原発3基の再稼働が前提になっており、時期を2015 年11 月〜2016 年3 月としているが、現在の再稼働に向けての審査の進捗を見る限り、その前提が崩れる可能性も多々あり、その場合の再度の値上げの不安が払拭できない。たとえば再生可能エネルギーをはじめとする電源構成の多様化をすすめるなど、リスク軽減策はないのか、あるとすれば具体的にどのように実行していくのか。
北電の説明からは原価算定期間しかわからない。長期計画を示さないと展望はみえない。泊3号機はいつまで動かしたいと考えているのか。たとえば10年を再稼働の上限として、バイオマス発電に切り替えていく、というような具体的な計画を示すことで、地元の理解が得られるのではないか
石狩には4年後にLNG発電ができて、火力発電が減る見通しもある。今後自然エネルギーと蓄電池の併用、バイオマス発電などの研究推進、発電効率の高い設備への更新等により、経営危機を乗り切ってこそ、道民に安全で安定的な電力を供給できる。原発以外の電気を増やすための値上げであれば協力したいとの意見もある。
 

燃料費について
火力発電用燃料費の増大を抑えるための対策について、火力燃料費抑制のために具体的に行った対策、ピークシフト・メリットオーダーの具体例、卸電力取引所等の活用実態、再生可能エネルギーの活用実態について説明が必要である。
燃料費と購入電力料を同じ扱いにしていることは疑問である。各年度について単価を計算してみると、一番安い時期で8円90銭、一番高い時期で15円20銭。現行単価は19円とあるが、標準家庭には23円50銭で売っている。安く買いつけ高く売る事業は疑問である。燃料費と購入電力料は別にするべき。
石油・石炭の燃料費が急増しているのは24年度までであり、25年の値上げで処理済みのはずである。為替レートも大きな影響を持つ。平成23年1ドル79円、平成25年1ドル100円、27%円安。円安によって増大した燃料費を指して、原発を稼働できないからと値上げの根拠にすることは納得できない

使用済み核燃料処理について
北電の経営を追い込んでいるのは火力発電の燃料費ではない。泊3号機を建設した負債と、原子力発電関連の固定的な巨額な支出が原因である。
電気料金決定の際、原価や為替レート算定に関わる原子力関係の支出は、使用済み核燃料や特定放射性廃棄物など、巨額かつ不透明である。
使用済み燃料の再処理に関して、まったく実績があがっていないにもかかわらず、日本原燃と契約して料金を支払っている。広報担当によれば、日本原燃との契約は、再処理工場竣工後、約40年間で北電分約1000トン、費用にして3500億円程度の計画。積立金の累計1700億円ではまったく足りない。仮に計画通り進んだとしても、1800億円以上日本原燃に支払うことが現時点で確定している。一方で、再処理実績は現時点までまったくない。それでも料金は契約に基づいて支払うことになる。今後当初契約の3500億円を超えることが予想される。再処理が行われていない以上、契約を解約すべきである。資源エネ庁が扱えない事案であれば、消費者庁監督官庁として、契約開示と内容是正を指導すべきである。放射性廃棄物の最終処分については、安全の議論も技術的な研究も完了しておらず、さらに費用が膨らむことが予想される。原発が稼働すればますます電気料金が上がることが心配される。
北電の株主総会では、泊原発を本年9月に再稼働しても電気料金値上げせざるをえないといわれていた。泊原発を稼働できれば値下げするというのは本当なのか。
北電に限らないが、日本原燃への委託契約が支払内容に見合っているか確認するため、消費者にも契約内容を開示すべきである。2年続きの大幅値上げに、全く説明責任を果たしていない。
再処理目的で毎年1億円が北電資産に組まれているというとしたら、長期的で巨額の固定費が経営を圧迫するだろう。電力各社が同じようにかかえているこの問題に対して、救済対策を政府に求める時期ではないのか。社会全体で解決しなければならない喫緊の課題に対して、政府、事業者のどちらからも議論が出ないこと自体おかしい。
国は一刻も早く、脱原発再生可能エネルギーを普及させるエネルギー政策を実現するために、財政・税制等を含めた具体的なエネルギー総合施策を推進すべきである。原発推進が国策ならば、原発を国の管理下において計画的に廃炉にする政策も考えられる。

需要家への対応
地域独占で事業を行う事業者として、顧客の満足度を上げる努力は必須である。特にの電力利用実態を調査・分析し、消費者に対してより生活の実態に合った料金メニューを用意するなど、省エネとユーザー還元という視点を明確にした事業展開が望まれる。

経済的弱者保護について
電気料金の支払いが滞った利用者には即電気を止めているが、多額の値上げをする以上配慮すべきではないか。不払い時の電気を止める方法を改めてほしい。
弱者の世帯では電気代を切り詰める余地はもう残されていない。

電力システム改革との整合性
電力システム改革との整合性が必要である。経営悪化の原因は原発にこそある。減価償却の終了した火力発電所がフル稼働して大幅な利益を上げているにもかかわらず、全体の経営が悪化するような現状では、今後の電力自由化以後の競争には耐えられない。電力システム改革のトップランナーとして生まれ変わるべきである。電力システム改革に抵抗し、その足を引っ張り、ゾンビのように生き残ろうとすることは、悲劇でしかない。
北海道の広大な土地、自然環境に恵まれた立地は、再生可能エネルギー育成に最も適している。全国の再生エネのモデル地域、化石燃料に代わるクリーンエネルギーとして普及・導入を要望する。