6.20院内集会 講師のコメント

6.20院内集会 どうなる!電気事業法改正
講師の 山田 光氏(エネルギーコンサルタント)より 
わたしたちの5/20付同法改正案についての要望書へコメントをいただきました。


要望1. 電力システム改革専門委員会に示された工程表を早急に実施してください。

→工程表は法案を通すために政治的な判断で決められたものであり、内容、順番ともに不備な点があるため工程表そのものを見直す必要があるのではないか。それによって実施時期も変更する可能性がある。

要望2. 新規発電事業者の参入と公平な競争促進、送配電網の独立性と透明性を確保するために、電事法本則において、新たな規制機関の創設を盛り込むことを求めます。

→発電事業者の競争のためには、まず送電利用ルールの公平性、送電業務の中立性、事業者行動の監視が必要となる。さらに燃料市場改革も不可欠であり、燃料市場の改革なしには発電事業者の競争は困難であろう。
→規制機関の創設はいつが望ましいのか、どのような権限と人材(確保)が必要なのか、具体策が必要である。

要望3. 電事法改正案附則(4)�1)電気小売業の全面自由化(一般家庭で事業者を選択可能にする)を同法本則とし、2016年までの実施を明記するとともに、ピーク時の需要カットやデマンドレスポンス(適切な需要抑制の料金メニュー)の導入を事業者に義務づけることを求めます。

→スマートメータおよびそのデータの在り方、小売会社の在り方、分散型電源の在り方、配電会社の在り方も議論する必要がある。
→デマンドレスポンスを実施するべき独立系事業者が事業採算を維持できる市場構造が必要。そのために全体の市場デザインをどうするかが重要となる。

要望4. 電事法改正案本則(1)�「広域的運営推進機関」(広域系統運用機関)の創設にあたって、需給逼迫など緊急時の利用だけではなく、平常時の広域運用を前提とすること、新規電源の接続受付は再生可能エネルギー電源の優先的系統接続、優先給電とすることを求めます。

→広域系統運用機関の役割、業務範囲、権限範囲を、電力会社の中央給電指令を超越するものとする必要がある。
→この広域系統運用機関には、各送電会社にできる需給調整市場を全国ベースで統括することが求められるが、その具体策を策定することが必要。

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電力システム改革を部分的な方法論でつなぎ合わせて実施すると失敗する可能性がある。
まず目的を定め、ビジョンを策定し、日本全体のエネルギー市場デザインの中の電力システムとして、燃料(ガス、石炭を含む)調達から、マルチエネルギー小売までの設計図を描くことが重要。
さらにエネルギー・システム改革の一部としてとらえる必要がある。インフラとしての送電と配電の中立性を担保し、発電と小売市場での経済原則、市場メカニズム、価格シグナルによる、エネルギーの効率利用を促すことが大切。

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講師プロフィール
山田 光(やまだ ひかる)
 慶応義塾大学経済学部卒業。
 独立系エネルギー・コンサルティング会社であるスプリント・キャピタル・ジャパン株式会社、米国Sprint Capital NW Inc.を設立。国内外のエネルギーメディアへの寄稿やセミナー講演、日本や海外のエネルギー関係企業や組織に対する助言、調査活動等を行っている。
 著書「発送電分離は切り札か」(日本評論社2012)
 対談「電力システムの構造改革」(大田弘子・山田光)『経済セミナー』(2012・12月〜2013・1月号)

本集会テキスト
 山田光「発送電分離は切り札か 電力システムの構造改革」(日本評論社
 伊藤元重東京大学大学院教授・電力システム改革専門委員長 推薦!
 「電力のこれからを考えるための必読書。欧米の電力システムに精通する著者が示す改革に向けた指針。日本のエネルギービジネスの将来像を描き出す」