脱原発世界会議(連続講座No.2)まとめ

発送電分離プロジェクト 脱原発世界会議 もちこみ企画 まとめ
(連続講座 原発に頼らない電力のしくみ No.2)

自治体・地域で電力を選び、つくる−今必要なのは発送電分離
1月15日 15:30〜17:00 パシフィコ横浜 会議センター416+417会議室
企画参加者数:約120人

報告1 PPS(特定規模電気事業者)からの電力購入で風穴が開いた電力会社の地域独占
(大沢ゆたかさん 東京都立川市議、反原発自治体議員・市民連盟) 
東京都立川市のPPS導入を報告。2000年の電力小売事業の一部自由化によって登場したPPSの電力を入札によって購入することで、経費節減と同時に、電力会社の地域独占に風穴を開けた。現状においてPPSの電力供給能力の限界はあるが、電力を入札により購入することは、原発の問題を自治体、地方議会のマターとして考える契機となる。

報告2 全国自治体の電力購入状況調査結果について
(内田隆さん 全国市民オンブズマン連絡会議事務局)
全国の都道府県、政令市、中核市のうち、入札によって電力を購入している比率、PPSが落札した場合の低減率などの調査結果を報告。「環境配慮項目」を設けて、それに最も適った事業者と電力購入契約を結んでいる自治体の中には、二酸化炭素の排出量のみを問題にし、原発の電力を供給する東電を最高ランクに位置づけている例があることも判明。今後電力自由化の中で、再生可能エネルギーの選択に進む環境配慮項目の設計が求められる。

報告3 発送電分離から脱原発へ  
只野靖さん 弁護士、浜岡原発運転差止裁判弁護団
政府が原子力損害賠償支援機構を立ち上げ東電に賠償資金を提供しているのは、返済義務のない贈与。賠償は、東電の現有資産からまずなされるべき。電力会社による送電網の独占は電力会社の圧倒的優位を意味する。発送電分離によってその優位は崩れるが、脱原発の方向に進めるには、再生可能エネルギーの優先接続義務を課すことが重要。発送電分離の形態は国ごとの歴史や情勢によって一つではないが、ドイツがたどった歩みは参考になる。

報告4 電力問題としてのリニア新幹線 
(川村晃生さん リニア・市民ネット代表 慶応大学教授)
  産業が活性化してもスピードアップした社会は人を苦境に追い詰める。南アルプスに穴を開けて自然破壊するようなリニア新幹線は真の文明ではない。エネルギー浪費型の社会構造は、原発の温存を許す。JR東海が2014年着工を目指すリニア中央新幹線は、原発数基分の電力を必要とする技術の暴走にほかならない。

参加者からの発言  
河本明代さん(長野県大鹿村議会議員)、松島信幸さん(元長野県治水・利水ダム等検討委員会委員) 

発送電分離を多面的に考えようと試みた結果、報告のみで90分の時間が尽き、意見交換、質疑の時間が取れませんでした。
次回連続講座で議論を続けたいと思います。次回もぜひご参加下さい。